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2015/06/06

話を聞いてやるだけでいい

知り合いのおばあさん、腰を悪くした結果、歩けなくなり、家の中にこもらざるをえなくなった。

ちょっと用事があったので行ってみれば、一緒に暮らしている娘さんと思わしくない状況。

おばあさん、耳も遠くなっているけど、神経質と我儘で、補聴器を使わないから、話がスムースに通じないし。


私は、介護10年の経験があるから、この状況は手に取るように分かる。

娘さんにしてみれば、今まで自分を支えてくれていた母親が弱って行くのを認めたくない気持もある。

私は、母親の方、おばあさんを半日くらいあずかってやることにした。

こういうときは、双方を離すのがいい。


そして、おばあさんの方をウチに連れて来て、言いたい事を言わせてみた。

逆らわずに、そうだねそうだね、と同調して。


途中、お昼を作ろうと、私が用意を始めたら、

おばあさん、私に迷惑をかけるから帰ると言い出した。

ちょっと待って、もう少しでできるから、と言っても、全く聞いてくれない。

帰るったら帰る、と子供のように言い張って、

顔を見れば、混乱している風だった。

勝気な人だから、他人の手間をかけさせるのは嫌なのだ。

なので、お昼の用意は止めにして、

分かったから、もう、いいよ、と背中をさすって落ち着かせ、

また、話を聞く事にした。

そしたら、今までの混乱はうそのように収まり、話を始めた。

お腹が空いていない風だったし、

お菓子は出してあったので、取り敢えず大丈夫だと思った。

なにしろ、娘さんとのやっさもっさで、お腹にはいっぱいのもやもやがあるし(^^ゞ

結局、夕方まで私のところで話したいだけ話して、帰って行った。

帰るときに、娘があんたみたいに、静かに話してくれたらいいけど、あの娘は、甲高い声で、ワーワー言うから、聞き取れないと言ったので、

いやいや、娘さんが一番、お母さんのことを気にかけているんだからね、私は他人だから、冷静に聞いてあげられるだけだよ、

とは言っておいた。


そして、帰ってから電話が来て、今までよりも歩けるようになったし、なんか、すっきりしたと言って来た。

薬の副作用みたいなのがあって、医者から出された薬が不安だとも言っていたけど、その副作用みたいな症状も、翌日にはないような気がすると報告してきた。


要するに、利害関係のない人が話を聞いてやればいいのだ。

年を取って、具合が悪くなり、死が近づいて来るのを感じるようになると、心が塞ぐのは当たり前。

そんなとき、どうしてほしい?

四の五の言わずに、話を聞いてほしいんじゃないかい?

親の介護をしている友達が言うのは、話を聞いてやってくれるだけでいいから、そういうことをやってくれる人はいないだろうか、ということである。

でも、介護システムの中にはそういうのはない。

知り合いがやってやればいいのだが、聞いたことの他言無用ができるかどうかに難しいところがある。

家族にも、話してはいけない。

言ったって、どうになるものでもないことだらけの話なのだから、聞いてやる人は、自分の胸にしまって、鍵をかける。

それだけのことなのだが、これが中々なのも事実である。
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