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2015/06/08

中和剤?

前の記事で書いたおばあさんから電話で、家庭菜園で作っている野菜を取りに来ないかと言って来た。

私は、午前中、熱が37度5分あって、しんどかったのだが、薬を飲むと楽になっていたので、お野菜をもらいに行くくらいなら大丈夫、と行くことにした。

普通は、行けば、娘さんが庭で待っていて、お野菜を渡してくれる。

なのに、今日は、行くと、娘さんが畑の中を歩き回っていて、私が声をかけると、家の中に入るようにと言うのだった。

お昼が近かったから、すぐに帰ることにしていたけれど、おばあさんにも挨拶をしなきゃならないから、取り敢えず、玄関へと回った。

そしたら、おばあさんが、家に入れと言い張る。

まあ、10分だけ、お邪魔しようと入ると、お昼は食べたかと聞く。

これから帰って食べると応えると、そうめんでも食べて行けと言うから、それは固辞したのだが、そこへ、娘さんも畑から戻って来て、食べて行くように、と盛んに言うのだった。

私にくれるお野菜は、リビングの新聞の上に、鎮座ましましていて、最初っから、私を家の中に入れるつもりだった風がうかがえた。

これは、母と娘の二人で、煮詰まっていたのだろう、と思った。

だから、私に薄め役,、ガス抜きともいうが、をやってほしいのだろう、と。

もう、そうなったら、腹をくくって、お役目をこなすしかない。

ただ、お昼のそうめんを作ったり、お茶を出したりするのは娘さんだから、娘さんに手間をかけさせる。

これは、日ごろの介護でじわっとくたびれている人には、重いことでもあるのだ。

私は、母娘の話相手をしながら、身の細る思いでもあった。


そんな私の気持を、おばあさんは察することもなく、

いみじくも仰った。

「誰かがいてくれたら、雰囲気が和らぐからいいんだよ」

と。

私は、もう、へえへえ、中和剤でも薄め役でも、何でもしますがな、と覚悟を決めた。

それから、そうめんをいただいて、テレビの2時間ドラマを観て、帰ってきた。

帰るとき、おばあさんは私の顔をじっと見た。

ありがとう、と言いたかったのか、どうなのかは分からないけど、

手をしっかり握って、帰って来た。


私がしてあげられることは、これから、まだまだたくさんある。
というより、これからが勝負だと思う。

先に経験した者として、できることを全てしてあげようとは思う。

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